昔、宝くじ販売をしていました。
ぴちぴちの20代です。宝くじ売り場のボックスって狭いですよね。
しかも一人。そして私が販売していた場所はトイレがついていました。
それが決め手でした。
潰瘍性大腸炎を患っていたので、がっつり悪い時は血便のみでした(笑)そして続く微熱。
この時期は再燃性が高くヤバかったので、立たずにできる。トイレに行ける。それが一番良かったです。
私にはあってたんですが、パートでは生活ができなくなってきたので辞めました。
そこでのお話です。
宝くじ購入はギャンブルだが日々の日課
お客さんはほぼ毎日来る常連さんが多かったです。雨の日も風の日も雪の日も暑くて苦しい日も毎日いらっしゃります。
あるおじさまはパチンコ屋に行って、近くでランチを食べて、宝くじを買う。そしてたまに私に差し入れをくれる。
あるおじさんは、毎日同じナンバー3を200円だけ買いにどんな日もやってくる。
「今日はうちから出てこちらの方角で買うと当たるって言われたの!」という方。
「必ず当たるって言って!」という恐ろしいおば様。(当たらなかったので怒られた。理不尽)
私は地方のよく当たるといわれるお店で販売していたのですが、穏やかな方が多く、日々楽しく過ごしていました。
そんな中でイレギュラーが起こるのが年末ジャンボ宝くじのような大きな行事です。
高額な金額が動く動く。それを一人で管理し銀行に入金しに行く。
ある日、シャッターを閉めた後にドンドンと扉を叩かれビビりまくったんですが、どうしても今日ジャンボが買いたかったそうです(笑)
それだけ活気のあるイベントなのです。
換金が始まると地獄
お金がかかわると人は変わります。
年末ジャンボ宝くじなどの時は紙袋をドン!と窓口に置かれることが多々あります。総額数十万。それを換金機に通していきます。
これだけあったら当たったらいいんですけどね…。宝くじはね。そうです。ギャンブルなんです。
すべて末等であったり3千円のこともある。
「え?もう一回調べてや」「すいません。一回換金機を通したので…」
「嘘やろ!このっつうううううう!ブス!!!」
なんて言われることもありました。いい大人の男性から言われたのでびっくりしましたが一人で笑いました。こんなことが多々あります。
換金する前に謎のお祈りを始める人もいました。一人で売り場にいると、様々な人の相手をしながらお客さんの相手をしなければならないので、なかなかハードな事もあります。
売り場には一人なので、すっと手を入れられて持っていかれたら、なんて考えたりもします。
でも基本楽なので体が弱い人にはオススメです。(※現場によるとは思います)
高額当選の発表!
天気の良い日にチャリで現れた坊主にしたイカした女子中学生が、やんちゃな笑いを浮かべて、小さく降りたたまれたくじをポケットから取り出しました。
「ねえねえ。お姉ちゃん。このくじ見てくれへん」
「どうしたん?自分未成年やろ。換金してあげれへんで」
「ええねん。とりあえずみてや」
「ええで」
換金機から高額当選音。
「どうやった?」
「ちょっと待って。これ1億円当たってんやん!」
「そうやねん。おとんがくれてん。やっぱ当たってるやろ」
「ここでは換金できひんで。銀行いかんと。しかも自分換金してもらわれへんのんちゃう?」
「そうやねん~。でも確認できてよかったわ。そんじゃ」
彼女はゆらゆらと宝くじ売り場から自転車で立ち去っていきました。
宝くじ売り場の前のタバコ屋へ…。
「自分未成年やろ!」
「…。」
彼女はそのまま警察に見つかってしまいました。
交番も目の前にあるんですよね(笑)
コントのような出来事で、彼女の少し青く染めた短い髪が忘れられません。
あの1億円の宝くじを彼女はどうしたのか。
彼女は幸せになったのか、そう考えると少しほっこりした気持ちになります。
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